こんにちは!
たいへん、たいへん、おひさしぶりのにわとり舎です。
そして今回の筆者は、にわとり舎の主人、とーちゃんです。
まだ日が昇る前。
野菜の出荷の予定があり、収穫で畑にむかう。
うちの畑は、集落のどんつきのお家からさらに上流に上ったところで、
隣には清流が流れ、いつ行っても最高の桃源郷なのだが、
日の出前というのは、また特別な時間が流れている。
人間よりも自然の気配が色濃く残り、少し怖いと感じてしまうくらいの感覚。
静寂の中の騒ぎ始める鳥の声や徐々に明るくなる光の変化。
日の出、日の入り前後の1時間は1日で最も変化のある時間で大好きだ。
そんな早朝にレタスを摘んでいたら、
来た時には気づかなかったのだが目の前にウサギがもぞもぞしている。
どうやら怪我をしているのか歩けないようで、必死に足をバタバタしていた。
人の気配がほとんどない山の中の畑は、動物の気配はたんまりあるわけで。
イノシシ、シカ、たぬき、イタチ、アナグマなど様々。
中でもウサギは悪さもそこそこの可愛い癒し系。
そんな畑の周りには獣害対策で電柵をはってはあるものの、それで怪我をしたとは思えない。
「大丈夫か!?」
近づいていくと、もがいていたウサギはこと切れたかのようにあっけなく死んでしまった。
これはどうしようかと一瞬迷ったが、先日イノシシで解体を学んだばかり。
捌いて食べようと思うが先か否か、体が反応した。
とりあえず急いで血抜きをせねばといったん家に戻り、
そのタイミングで起きぬけの息子に野ウサギを見せる。
息子は寝ぼけながらも、
「ウサギさん可愛いね」と言った。
準備をして畑に戻り、
急いで血抜き、その後捌いた。
以前イノシシを捌いた後、排泄の部分が難しく、
イノシシをよく我が家に持ってきてくれる猟師さんに相談したところ、
「前足、後ろ足だけを先に外して、最後に中をやれば最悪失敗しても足は取れるよ。」
とアドバイスをもらっていた。
今回はウサギが可愛いだけに無駄にしたくない思いも強く、
先に足をとってから内臓の処理にあたった。
イノシシよりも簡単に捌くことができ、
キレイに毛皮とお肉になった姿で家族に事の一部始終を報告した。
出荷の時間が迫っているというのに、収穫を放り出して集中して捌いたあの時間。
男としての狩猟の本能なのだろうか。
不思議とそこに嫌な気分などなかった。
ぼんちゃんのときは捌いていただこうとは到底思えなかったけれど、
もしそんな機会があったら、うまいうまいと食べてやろうと思う。
こんな自分は残酷だろうか。
いや、でも生きることってのは、たいてい残酷なことだ。
「ウサギ、料理」で検索すると、フランス料理が出てきた。
Lapin a’ la moutarde。
今度挑戦してみようかな。
保育園へ向かう道すがら、息子にこのウサギの一件の感想を聞いたら、
「可愛いから美味しいと思う」と屈託のない笑顔で無邪気に答えた。
清々しいその返答にグッときた、とある朝の話です。
阿蘇の里山の水源近くの古民家をセルフリノベーションしながら、薪をくべ、田畑を耕し、ときどき麦を編みながら、動物たちとともに暮らしています。あたらしい時代のあたらしい生き方を実践すべく、土に根を張り、ヒトも自然の一部として、日々をおもしろがって生きています。