こんにちは!
おひさしぶりのにわとり舎です。
季節はすっかり秋ですね。
わたしたちが暮らすここ阿蘇・南小国の里山の装いもどこもかしこも赤茶色に色づいてきました。
そろそろ金木犀の香りがただようころ。
秋、さいこうです。
わたしたちの近況はというと、
先日稲刈りが無事におわり、ひとまずほっと一息ついているところです。
わたしたちが今年お借りした田んぼの広さは、一反二畝。
いまの家族4人が自給するには十分です。
もっと面積を広げて、たくさんつくることも考えましたが、
乳飲み子を抱えての暮らしの中で、わたしたちのやりたい農法で畑仕事と両立しながら田とむき合うには、これまた十分。
親元就農でも、地元の人間でもないわたしたちが田をはじめるハードルは決して低いものではありません。
それでも縁あってやらせていただけるのであれば、一度人力でやってみようというのが今年のテーマでした。
昔は、1日1人で五畝刈れたら一人前と言われていたそう。
大人2人、子ども2人。
手は、1、2、3、4、、、4さいのむすこも入れたら、6本ある。
人力でやれないことはない、そうおもいました。
今年の米づくりは、さまざまなドラマがありました。
まずは苗づくり。
去年収穫した米を種もみとして、湯温消毒。
温泉地ならではの秘密の場所での浸水もして、
準備万端!とおもいきや、
無施肥、無農薬の自然栽培米、箱苗での育苗はやはりむずかしいことでした。
田植えに最適な大きさに成長するには、どう施しても箱の中では栄養が足らなかったのです。
本やネットの情報では知っていたものの、直接体験が重要です。
米は苗半作と言われるように、苗づくりはかなめの大事な作業。
陸に移し替えたりと試行錯誤を試みましたが、必要量に達せず断念。
それでもあきらめたくないと、無農薬で米づくりをしている知り合いの農家さんに余り苗を分けてもらえないかと、
片っ端から連絡をし、ようやく手に入れたのでした。
よくよくみなさんにヒアリングしてみると、
こだわりの農家さんでも苗づくりはしかたなく消毒、化成肥料を使っているという方も。
箱やポットで苗をつくるのは、機械に装着するため。
全て手作業で行うのであれば、田で苗代をつくればよいのですが、
広い面積のお米をされていたり、ご高齢だったり、お仕事との兼業であったりでは
全ての工程が手作業というのは大変な苦労です。
みなさんご自身のスタイルに合わせて、ちょうどいい塩梅の落とし所を見つけていらっしゃるようでした。
機械に依存せざるを得ない状況が、この現実をつくっていました。
苗をつくるのも、肥料だ、消毒だとコストもかかるわ、うまくいかないリスクもある。
隣のじいちゃんはうまくいかなかったときに、方々に頭を下げて連絡するのが嫌で買うことにしたと言っていたっけ。
苗を買い、土を買い、肥料を買い、消毒を買い、一年に一度しか使わない専用の機械を買い、収穫後の貯蔵庫を買い、
米は1キロ300円足らずで卸す。
じいちゃんたちはそんな赤字でしかない米づくりに、「なんで米やっとるかわからんわい」と苦笑い。
減反政策などにより、米の価値が下がっても簡単に田を手放さなかったのは、
染み付いた文化と子らに食べさせてやりたいという親心なのだと感じます。
否が応でもテクノロジーが進みゆく時代。
技術革新が進んでいるにも関わらず、どこか不自由さが拭えないのはなぜなのか。
にんげんが幸福感から遠のいているのはなぜなのか。
自問しています。
6月、田植え。
慣れない裸足にまとわりつくぬるっとし冷たい土の感触も、
夢中に虫取りをする子どもたちが畔ではしゃぐ声も、
腰にぐぅっとかかる負荷にじんわりにじむ額の汗も、
ここちいいしあわせ。
9月、稲刈り。
ざっくざっくとくりかえす鎌の音、
やってもやってもおわらない気さえする繰り返しの作業、
赤子の重みがさらに腰にかかります。
刈っては、ならべ、むすび、かける。
刈っては、ならべ、むすび、かける。
ハプニングもなんのその。
台風だってなんのその。
まっすぐに田とむきあったご褒美は、
内側から湧き上がる経験したことのないよろこびと感謝でした。
やったね!
そんなこんなでこの地で農的暮らしをしている私たちですが、
ここに至るまでのストーリーにはたくさんのご縁のおかげさまで成り立っています。
そのおかげさまのひとつである(株)SMO南小国さん。
阿蘇さとう農園さんの事業のひとつである農業コーディネーターを新規募集中とのこと。
自ら耕し、自ら伝える。阿蘇の大地で半農半PR~新規就農コーディネーター募集【キックスタートキャンプ2022プロジェクト紹介】
木こりや羊飼いの募集もあったり、なんだか魅力的!
だれもが自分らしく生きていくきっかけになりますように。
バーイ。
阿蘇の里山の水源近くの古民家をセルフリノベーションしながら、薪をくべ、田畑を耕し、ときどき麦を編みながら、動物たちとともに暮らしています。あたらしい時代のあたらしい生き方を実践すべく、土に根を張り、ヒトも自然の一部として、日々をおもしろがって生きています。